子どもの「やる気」を奪っていませんか?伸びる子が育つ親の境界線

「もっと練習すればいいのに」 「どうして自分から動かないのかしら」
スポーツに励むお子さんを持つ親御さんなら、一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか。子どもの頑張りを近くで見ているからこそ、つい口を出したくなる。それは、親としての深い愛情があるからです。
しかし、その愛情が時に、子どもの成長を止めてしまう原因になっているかもしれません。
多くの子どもたちを指導してきた経験から断言できるのは、劇的に伸びる子の親御さんは、ある共通の「心の持ち方」をしているということです。
それが、アドラー心理学で提唱される「課題の分離」です。
■「課題の分離」とは何か
課題の分離とは、目の前の出来事が「最終的に誰が責任を負うべきものか」を分け、他人の課題に踏み込まないという考え方です。
子どもの成長において、最も大きな壁となるのは、親が良かれと思って「子どもの課題」を肩代わりしてしまうことです。親が先回りして課題を解決してしまうと、子どもは自分で考える機会を奪われ、自主性やモチベーションを失っていきます。
■ 具体例:自主練をするか、しないか
ここで、多くの家庭で起こりうる「自主練習」を例に考えてみましょう。
親の視点で見れば、試合で活躍してほしい、もっと上手くなってほしいという願いから、「ほら、練習しなさい」「今日はやらないの?」と声をかけてしまいがちです。
しかし、ここで課題を整理してみましょう。
・子どもの課題:練習をするかしないか、その結果どうなるか
・親の課題:子どもが練習したいと思った時に、どう応援・サポートするか ✖自主練をさせるような声掛けをする
「練習をする」という行為の最終的な責任者は子ども自身です。
練習をサボって試合に出られなくなったり、技術が向上しなかったりする不利益を被るのも子どもです。
それを親が無理にやらせようとすると、子どもにとって練習は「自分のためのもの」から「親に言われてやるもの」に変わってしまいます。これが、やる気が枯渇する最大の原因です。
■ 親ができる「最高のサポート」とは
では、親は何もしなくてよいのでしょうか。そうではありません。
親の課題は、子どもが自分から動き出したくなるような「環境を整えること」にあります。
例えば、このようなアプローチです。
- 練習の強制ではなく、選択肢を提示する 「今日は公園に行くけど、ボール持っていく?」と聞く。やるかやらないかの判断は子どもに委ねます。
- 物理的なサポートに徹する 練習したいと言った時に、場所を確保したり、一緒に道具を揃えたりする。「あなたのやる気を全力で支える準備はあるよ」という姿勢を見せることです。
- 結果ではなく、プロセスに共感する 練習をした事実に注目し、「今日は10分集中していたね」「楽しそうにやっていたね」と、親自身の嬉しい気持ちを伝えます。
特に3番は子どもの心に響きます。子どもはいつでも褒められたい、励まされたいという親の愛情を受け取る気持ちがあります。
■ 信頼して、待つということ
これまで3000人以上の子どもたちと向き合ってきましたが、大人が「課題の分離」を徹底し、子どもを一人の人間として信頼して待てるようになったとき、子どもたちは驚くほどの自主性を発揮し始めます。
最初は「何もしなくて大丈夫かしら」と不安になるかもしれません。
しかし、親が自分の課題(応援とサポート)に集中し、子どもの課題を本人に返してあげたとき、子どもは初めて自分の足で歩き出します。
お子さんの可能性を信じて、一歩引いたところから温かく見守る。その境界線こそが、お子さんの才能を最大限に引き出す近道になるはずです。
この記事が、お子さんの運動を支える親御さんたちの心の支えになれば幸いです。
ピーター先生より
執筆者:ピーター先生 体育の家庭教師みらいず代表
13年間、体育の家庭教師として3000人以上の子どもたちの「できた!」の瞬間に立ち会ってきました。私自身、29歳での海外留学など様々な経験を経て、子どもが輝く可能性は無限大だと肌で感じる。
現在は子どもたちが自ら伸びていくための環境づくりをサポートしています。
子どもが自主性を発揮し、親もわくわく・キラキラと輝き出す。
そんな家庭を増やすために、ホームページやストアカを通じて、日々実践的なアドバイスを届けています。



